「こいこい」などのゲームで使われる花札には、様々な植物や動物が描かれています。
実はその植物にはそれぞれ”月”が割り振られており、しっかりとした意味が込められています。
そこで今回は花札 種類とその意味について詳しく解説します。
花札とは
花札は日本特有のかるたの一種で、12種類の札で構成されています。それぞれ1月から12月までの1年12ヶ月を象徴しており、季節の植物が描かれています。
各月4枚ずつの計48枚1組で、各絵柄に点数が付けられており、各札の組み合わせによる点数を競い合うゲームです。
花札の種類を解説!各月の植物とその意味
各月に描かれている季節の植物(花)と、その意味について詳しく見ていきましょう。
1月(睦月)松-まつ-
1月の札には『松に鶴』が描かれています。
松は冬の期間でも青々と緑が生い茂る様子から「不老長寿のシンボル」として考えられていました。
同様に鶴も「長寿」の象徴だというのは有名ですよね。
2月(如月)梅-うめ-
2月には『梅と鶯(うぐいす)』が描かれています。
中国では「花といえば梅」というほど親しまれており、日本でも万葉集や古今和歌集などに用いられて広く認知される美しい花となりました。
鶯(うぐいす)も日本ではお馴染みの鳥で、鳴き声の特徴からも知らない人はいないほどです。
手紙の挨拶文「梅の花が咲き、うぐいすの鳴き出す季節となりました」などの時候の挨拶として用いられることも多いです。
3月(弥生)桜-さくら-
3月に描かれている『桜に幕』は、旧暦3月(現在の4月)に満開を迎え、日本を象徴する花として親しまれています。
一緒に描かれている幕は、花見席や花見会場を表しています。
4月(卯月)藤-ふじ-
4月には『藤と不如帰(ほととぎす)』が描かれています。
旧暦4月(現在の5月)頃に藤の花が咲き、渡り鳥である不如帰(ほととぎす)が日本へ飛来して鳴き出すため、和歌では昔から藤と不如帰がセットで詠まれています。
5月(皐月)菖蒲-あやめ-
5月には『菖蒲(あやめ)に八橋(やつはし)』が描かれており、「菖蒲」は”しょうぶ”ではなく”あやめ”と呼ぶのが正しい読み方です。
しかし実際に描かれている花は菖蒲ではなく杜若(かきつばた)だと言われています。
「いづれ菖蒲か杜若」という諺があるように、この2つは非常によく似ています。
また八橋は愛知県にある「八つ橋」という場所に起源があると言われています。
6月(水無月)牡丹-ぼたん-
6月には『牡丹に蝶』が描かれています。
牡丹は「百花の王、富貴花」などと呼ばれ、古くから高貴さや幸福の象徴とされています。
また「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、落ち着きのある女性を形容する言葉もあります。
7月(文月)萩-はぎ-
7月には『萩に猪』が描かれています。
萩は秋の七草にも入っており、秋のお彼岸には「おはぎ」を食べる方も多いと思います。
草かんむりに秋の文字からも分かるように、秋を代表する花になります。
8月(葉月)芒-すすき-
「坊主」と呼ばれることもある8月には『芒と月』が描かれています。
芒(すすき)は萩と同じく秋の七草のひとつで、旧暦の8月15日に芒をお供えして月見をする「十五夜の行事」からきています。
9月(長月)菊-きく-
9月には『菊に杯(さかずき)』が描かれています。
五節句のひとつである「重陽の節句(9月9日)」の菊酒の風習からきているようです。
菊酒とは、蒸した菊の花に冷酒を注ぎ、香りを移したお酒のことを指し、菊の花を鑑賞しながら飲むと長寿になると言われています。
また菊の花は、日本の皇室、皇族の紋章としても用いられ、まさに日本を象徴する花とされています。
10月(神無月)紅葉-もみじ-
10月には『紅葉に鹿』が描かれています。
昔から紅葉と鹿は縁起の良い取り合わせだと考えられており、百人一首では「奥山に紅葉踏み分け 泣く鹿の声聞くときぞ 秋はかなしき」と詠われているように、共に秋を象徴する植物と動物です。
11月(霜月)柳-やなぎ-
11月には『柳に小野道風(おののみちかぜ)』が描かれています。
札の中央にいる男性が小野道風で、柳に飛び移ろうとしている蛙を眺めています。
これは”梅園叢書”の中のお話の1つであり、無謀な挑戦と思えた矢先、柳の葉につかまることに成功した蛙の姿から、一生懸命努力することの大切さを思い知ったというお話からきているようです。
12月(師走)桐-きり-
12月には『桐に鳳凰』が描かれています。
なぜ真冬の12月に桐が描かれているのかは諸説ありますが、1番有名な説では「12月は最後の月のため、『これっきり』からとって桐を最後にした」というものがあります。
また、中国神話に登場する鳳凰が、青桐にとまっていたという伝説がモチーフになっているという話もあります。
まとめ
普段何気なく遊んでいる花札も、それぞれの札には花札 種類としっかりとした意味が込められていました。
それぞれの意味を理解してから遊ぶと、これまで以上にさらに楽しくなることは間違いありませんね。