みなさん、一度はトランプカードを使ったゲームで遊んだことがあると思いますが、トランプカードは正式にはプレーイング・カード(playing card)または単にカード(card)と言われます。キング、クイーン、ジャックの各絵柄のカードの人物にはモデルがいることはご存知でしょうか?今回はその中でもクイーンのモデルとなっている人物についてまとめてみました。
クイーンのデザインのモチーフになったモデル
四つのスートそれぞれのクイーンのモチーフとなっているモデルが存在します。
スートごとにご紹介したいと思います。
スペードのクイーン
モデルはギリシャ神話に登場する女神、オリンポス12神の1柱である「アテナ」とされています。アテナは知恵と学問の神といわれますが、戦いの女神でもあり、トランプの絵柄としても武器を手にしている様が描かれています。
ハートのクイーン
ハートのクイーンは「ジュディス」と呼ばれ、そのモデルとして三つの説があるようです。一番一般的なモデルは、旧約聖書外典のユディト記に登場するユダヤの女戦士である「ユディト」(英語でジュディス)です。「ユディト」は、祖国を救うための戦いで敵陣に赴き、アッシリアの敵将の首を取って民を救ったとされています。他の二つのモデルは好ましくない評判があるため、フランスではこのユダヤの女戦士ジュディスであるとされるのが一般的であるようです。念のため他の二つに関しては人物名の紹介のみとさせて頂きます。
- 2つ目の説:シャルルマーニュ(カール大帝)の王子ルイ1世(ルードヴィヒ)の妻でババリア(バイエルン)の「ジュディス」
- 3つ目の説:シャルル6世の妻、バイエルン(ババリア)の公女「イザボー・ド・バビエール」
ダイヤのクイーン
一般的なのは、旧約聖書の創世記に登場する、「ヤコブ」の妻のひとり「ラケル」です。ラケルは「ラバン」の美しい娘で、姉の「レア」とヤコブを取り合います。ヤコブが見初めたのはラケルで、ヤコブとの間に生まれたのが「ヨセフ」です。ヨセフは、イスラエル人を大飢饉から救ったとされる人物で、もう一人「後継者」という意味が名前に含まれている「ベニヤミン」という大物を産んでいますヤコブにはラケルを入れて総勢4人の妻がいたようですが、彼が見初めたのはラケルだけだったようです。
別な説として、シャルル7世の愛人でアニエス・ソレルであると言う説もあるようです。
クラブのクイーン
クラブのクイーンは「アルジーヌ」と呼ばれ、モデルとして有力な説として、シャルル7世の妻「アンジュー公女マリー」という人物だと考えられています。マリーはジャンヌ・ダルクの活躍によって国王になったシャルル7世の妻となりますが、シャルル7世にはアニエス・ソレルという公式な妾がいて宮廷で強い影響力を持っていたようです。
また、シャルル7世の母でハートのクイーンであるという説のあるイザボーや、11歳から後のシャルル7世を育て、強い影響を与えたマリーの母ヨランドなどといった陰の実力者に取り囲まれて、マリー自身は影の薄い存在であったようです。「アルジーヌ」という名前は、ラテン語の女王の意味をもつ「レジーナ(Regina)」のアナグラムを用いて表したものだそうです。そのため、このような字謎が使われたとも考えられますね。
トランプの絵柄のデザインはフランス革命後に定着
トランプカードのクイーンは女王を象徴するものです。今の絵柄のようなデザインが定着するのは、一般的に1789年のフランス革命後だとされています。フランス革命後に、王政が復興したころには、現在みなさんに親しまれているトランプの絵柄に近いものが商品として定着したようです。
トランプカードの数字の由来と不思議
絵札のクイーンに目を向けてみましたが、現在の私たちが親しみのあるトランプカードに数字に関して色々と意味や不思議な点があることが分かりました。せっかくなので、トランプカードの不思議にも迫ってみようと思います。
スート(絵柄)ごとに13枚のカードの意味
4つのスートは春夏秋冬の季節を表しており、そのひとつの季節が13週あるということから来ていて、一つの数字は一週間(七日間)を表しています。たとえばクラブのA(エース)は春の第一週目を意味しています。
52枚のカードの意味
4種類のスートごとに13枚のカードがあります。これは四つの季節ごとに13週、1年が52週間であることと一致しています。
今回はざっと数字に関しての概要だけですが、詳しく知りたい方は下記の記事も読んでみてください。
まとめ
キング、ジャックと同じように、クイーンのモデルとなった人物も興味深い人物ばかりでしたね。今回は絵札のクイーンに着目してみましたが、古い起源をもつトランプカードだけに、数の謎や絵札の意味合いなど、探してみると、まだまだ多くの不思議が発見できるかもんしれません。