スイスのトランプゲーム「ヤス」をご存じでしょうか。日本ではあまり行われていませんが、スイスでは多くの人が楽しんでいるゲームで、カードなどを常備している飲食店もあるようです。この記事ではスイスのトランプ「ヤス」のルールと遊び方を解説します。日本のトランプでも楽しめるゲームなので、覚えてみてはいかがでしょうか。
トランプ「ヤス」のルール
スイスではポピュラーなトランプゲーム「ヤス」。重たい持ち物も要らず、狭い空間でもプレイできるので、どこでも楽しめるゲームだと思います。実際、スイスでは家庭だけでなく移動中の車内や飲食店でもよく行われているようです。それではヤスのルールを説明します。
プレイの準備
トランプ「ヤス」のプレイ人数は4人です。輪になって座り、向かい合った人とパートナーとなって2チームで競います。ヤスをプレイする際に必要なものは以下2つです。
- ヤスカード
- 得点計算用の黒板
ヤスカードはスイスのトランプです。日本でよく売られているトランプでヤスをプレイする場合は、2~5の数字札とジョーカーを抜いて36枚にします。得点計算用の黒板は専用のものもあり、持っていればやりやすいです。得点計算が多いゲームなので、なければ別の筆記用具を用意した方が良いと思います。
カードの強さ
カードの強さは強い順にA→K→Q→J→10→9→8→7→6です。後述する切り札なし(Undenufe)の場合は逆になり、6が強く、Aが弱くなります。切り札となったスートのみ強い順にJ→9→A→K→Q→10→8→7→6のようにJと9が強くなります。
スイスでは10が強いカードとして使用されるゲームが多いですが、ヤスでは強いカードというわけではありません。ただし、得点計算の際10のカードは高得点として計算されます。
トランプ「ヤス」の遊び方
トランプゲーム「ヤス」は頭脳戦で、ルールや遊び方が頭に入っていないと勝つのは難しいと思います。ただ、いったん覚えてしまえば難しくはないですし、どんどん高い点数が入るので気持ちよくプレイすることができそうです。チーム戦なので仲も深まり、時間つぶしにもぴったりで、スイスで人気となっている理由も頷けるのではないでしょうか。それではトランプゲーム「ヤス」の遊び方を説明します。
ディーラーを決めてカードを配る
最初のディーラーの決め方に決まりはないようです。何らかの方法で1回目のディーラーを決めたら、2回目以降は反時計回りに順にディーラーとなります。
ディーラーが決まったら、ディーラーがカードを配ります。一般的には3枚まとめて配るようです。すべてのカードを配り終えると、各競技者に9枚ずつのカードが渡っています。
切り札を決める
ディーラーの右隣の人、またはクラブの7を持つプレイヤーが切り札となるスートを宣言します。これはパスすることができますが、その場合は必ずパートナーが宣言しなくてはなりません。
この時の切り札によって主に得点計算の際に条件が付きます。
切り札スート | 日本のトランプの場合 | 条件 |
ドングリまたは野バラ | ハートまたはダイヤ | |
盾または鈴 | スペードまたはクラブ | 得点が2倍 |
切り札なし(Obenabe) | 8のカードを8点として計算 得点が3倍 | |
切り札なし(Undenufe) | 8のカードを8点として計算 得点が4倍 カードの強弱が逆になる |
プレイ開始
手札が9枚ずつあるので、9回のトリックが行われます。1回目はクラブの7を持つ人からスタート、2回目以降は勝者からスタートです。
はじめの人が任意のカード(リード)を1枚場に出したら、反時計回りにカードを出していきます。4人のプレイヤーが1枚ずつ出し終えたら、最も強いカードを出した人が勝者です。この時のカードは得点計算で使用するので勝者が回収しておきます。
カードの出し方の決まり
カードの出し方にはいくつか決まりがあり、必ず守らなくてはなりません。ただし、これらの条件に合うカードがない場合は、手札から好きなカードを出して良いことになっています。
- 切り札はいつでも出せる
- リードが切り札ではないのに切り札を出す場合は、それまで場に出ている切り札よりも強いカードを出す
- 切り札を出さない場合、リードと同じスートを出す
切り札のJはこれらのルールに従わず出すことができます。
バイスの宣言
1回目のトリックで行われます。最も高得点のバイスを持つ人のみ、持っているすべてのバイスの点数をその場で得られ、その点数は以下のとおりです。
バイス | 点数 |
同じスート3枚のシーケンス(7,8,9など) | 20 |
同じスート4枚のシーケンス | 50 |
同じスート5枚以上のシーケンス | 100 |
A,K,Qが4枚 | 100 |
9が4枚 | 150 |
Jが4枚 | 200 |
最初の人は自分の最もよいバイスの点数を宣言します。次の人は同じ点数がなければ「よし」、あればその枚数を宣言します。それをきいて最初の人は枚数がそれより多いかどうかを答えます。これを順に行い、最も高得点の人を探します。
得点計算
得点を計算します。まずチームごとに、トリックで得たカードの得点を計算します。
カードの種類 | 点数 |
A | 11 |
K | 4 |
Q | 3 |
J | 切り札スートは20、切り札以外は2 |
10 | 10 |
9 | 切り札スートは14、切り札以外は0 |
8 | 切り札なしを宣言した場合8、それ以外は0 |
7,6 | 0 |
さらに以下のような加点をつけることができます。
条件 | 得点 |
同じスートのKとQを持っている | 20 |
最も良い手段をもっている人のチーム | 持っているすべての手段の合計点 |
9トリックすべてで勝利 | 100 |
最後のトリックに勝つ | 5 |
この点数を、最初に決めた切り札の種類によって1~4倍して得点とします。
ゲーム終了
以上のプレイを繰り返し、どちらかのチームが2500点以上となった時点で終了します。バイスの点数は最初の宣言時に加点されるため、トリックの途中であってもその際にゲームが終了してしまう可能性があります。
まとめ
スイスのトランプ「ヤス」のルールや遊び方を解説しました。スイスのトランプを使用しますが、日本のトランプで代用することもできます。ルールや遊び方自体は難しくないのですが、カードの強さや切り札の種類、得点計算が複雑に見えるので、慣れていないと勝つことは難しいゲームです。スイスの方々と会う前に練習しておけばスムーズに仲良くなれるかもしれません。