花札の意味は、怖いといわれていますよね。花札は、その季節を表した植物や動物、行事などが各札に描かれています。その中でも11月の札は、他の月の札とは少し雰囲気の違う独特な絵柄をしており、特に赤色と黒色で表現されたカス札の『鬼札』は何を表しているのか疑問に思った人も多く、花札の意味は実は怖いのではないかと噂されることもしばしば。そこで今回は、11月の花札『鬼札』に描かれている絵や、花札の絵柄の意味、由来について詳しくご紹介します。
花札の意味はなぜ怖い?
花札は、こいこい ルールが簡単な遊びもある手軽なカードゲームです。しかし、札に書かれた絵柄の意味が怖いといわれることもありますよね。実は、花札の意味が怖いといわれるのは、単に絵柄が不気味であるという理由以外に、考えられる背景がありました。結論からいうと、花札の意味は怖いというイメージを付けるために作られたものではありません。しかし、その由来や歴史を見てみると、怖いといわれる理由が分かってきました。
日本人の死生観が含まれるから
花札には、日本人の死生観が含まれています。花札の絵柄には、無常観という仏教の世界観が込められています。無常観というのは「すべては移ろう」という意味を持ち、たとえば春の桜は必ず散り、秋の月は必ず曇るというふうに、美しいものには終わりがあるという意味が込められているのです。これにより、花札で遊ぶたびに死生観を感じるようになり、怖いというイメージがついたのでしょう。
裏社会とのつながりを感じるから
花札は、江戸時代に幕府から繰り返し禁止令を受けた賭博用具なんです。それゆえ、花札=裏社会の遊び道具だというイメージがあるのかもしれません。花札が禁止されまた別のカードゲームになり、それも禁止され…といういたちごっこが繰り返され、しまいには花札が「かるた」という隠語で呼ばれるようになります。現在でも花札は、ヤクザ映画に登場することもあり、怖いというイメージが続いているのかもしれませんね。
参考:LIG
11月のカス札『鬼札』とは
この季節だけにある何故か赤や黒で表現されたよく分からない不気味な絵柄。この札は『鬼札』と呼ばれ、花札では通常「カス札」として扱いますが、ゲームによってはトランプのジョーカーのような役割があります。赤と黒の色使いから少し怖いイメージがあり、花札の意味は実は怖いのではないかと感じるのも、この鬼札のせいかもしれません。しかしよく見ると、細かい絵柄が描かれています。
なぜ11月にだけ鬼札があるの?
11月のカス札『鬼札』については、さまざまな疑問が持たれています。まず、なぜ11月にだけこの札が存在しているのかという点です。日本には古くから「雷は柳に落ちる」という言い伝えがあります。これが「柳と雷神」という信仰を生み、11月=柳ということで、雷(鬼札)が同じ月に属するのではないかといわれていますよ。また「神無月」とよばれる10月は、全国の神々が出雲に集まって留守になる月。翌月の11月はまだ神々がそれぞれの持ち場に戻っておらず「神の加護が薄い月」とされ、鬼が現れたのではないかとも言われています。
『鬼札』には何が描かれている?
鬼札は、ぱっと見では赤と黒のシンプルな絵柄に見えますが、よく見てみると様々な絵柄が描かれています。
- 柳の葉
- 鬼(雷神)の手
- 雷光
- 雨
- 太鼓
激しい雷雨の中、札の右上から伸びている鬼(雷神)の手が、左下にある太鼓を掴もうとしている場面です。非常に分かりにくいですが、札の左右にある黒塗りの部分が柳の葉を表しているようです。なぜこんな分かりにくい絵柄になったのでしょうか。
この絵柄になった由来とは?
柳の鬼札は、なぜこのように気味の悪い絵柄になったのか、由来を調べてみました。雷鳴・稲妻を司る神「雷神」を象徴するという解釈が、もっとも広く知られています。また、日本の民間伝承で雷は「鬼」と結びつけられています。「鳴神(なるかみ)」すなわち雷の化身が鬼の姿をしているという説もあるようです。また、11月の光札には「雨中の柳に飛びつこうとするカエルを眺める小野道風」が描かれており、嵐というイメージも加わりました。これらが鬼札の絵柄の由来とされています。
柳=雨のイメージになった
もともと柳の札には「雨」の意味はなく、柳の葉が2枚描かれているだけのシンプルな物でした。その後、柳の札の1枚に雷雨の中で傘を差す人物が描かれ、柳=雨のイメージが付きます。昔は雨という発想から、光札(花札で1番点数の高い札)の効果を消す(雨に流す)「消し札」という役割がありました。
※傘を差す男の人の札を含め柳の札を4枚集めると、光札の役を流すルールがあった。
季節と相まって雨の絵に
同時に雷雨=雷光ということで、傘を差す人物の札が光札として扱われるようになり、その後現在の小野道風の絵柄へと変更されました。11月は嵐・雨の季節であり、雨(柳)の絵柄スートの一枚として自然に位置づけられたのではないでしょうか。数ある絵柄の由来説の中でも、雨というキーワードが重要なようです。雷鳴・稲妻を司る神「雷神」を象徴すると考えれば、雨をイメージした札になるのも自然ですね。
消し札と差別化するためにデザインを変更
絵柄が小野道風に変わったことがきっかけとなり、「消し札」の機能を他の札に持たせようという事になります。そこで消し札として判別しやすくするため、柳の札の背景を赤く塗りましたが、それだけでは元になった「雨」が分かりにくいという事で、雨のイメージを持たせるために雷光や雨、雷神の太鼓や手をデザインした札が登場しました。
花札の11月は『柳』
花札は、1月〜12月までの月で表されており、その季節を表した植物や動物が描かれています。中でも特に気になるのが11月の札で、この季節の札には『柳』が描かれています。花札の中で唯一人が描かれている柳の光札には、「小野道風(おののみちかぜ)」という人物が描かれており、江戸時代(1856年)に書かれた三浦梅園の『梅園叢書』の中のお話を元に描かれたそうです。しかし、もともとは小野道風ではなく、雷雨の中で傘を差して走る男の人が描かれていました。
光札は小野道風と蛙
11月の光札は、小野道風と蛙です。平安時代を生きた書道の名人・小野道風が、雨の中で柳の枝に飛びつこうと何度も挑戦するカエルを眺めている場面です。自分の書の才能に限界を感じ絶望していた小野道風が、何度も落ちながら諦めないカエルを見て、「天が助けるなら、努力は必ず報われる」と悟ります。そして再び修行に励み、大成したことが由来だったそうです。
短冊札は柳
11月の短冊札には、柳の枝が風に揺れる中に、赤い短冊が描かれています。他の月の短冊と異なり、11月の短冊は文字が書かれていないのが定番。これ自体が「嵐で文字が消えた」「言葉を失った悲しみ」を暗示するという解釈があるのだそうですよ。短冊札は、月によって短冊が出てこなかったり、青い短冊だったりします。11月は文字がない、もしくは見えないほど小さく書かれていて、これ自体にも意味があるとされているのですね。
タネ札はツバメ
また柳のタネ札には、黄色い鳥が描かれていますが、こちらはツバメとなっています。ツバメは黄色い鳥ではないはずですが、絵柄を鮮やかにするために”あえて”黄色いデザインにしたという説があります。
そして1番気になる赤や黒で表現された柳のカス札は『鬼札』と呼ばれ、その独特な雰囲気から少し不気味に感じる人も多いかもしれません。
まとめ
各季節を表現した絵柄の花札ですが、11月の『鬼札』は赤や黒の色使いから独特な雰囲気で少し不気味に感じ、花札の意味は実は怖いのではないかと思ってしまう人も多いかもしれません。しかし鬼札にもしっかりとした由来があり、知っていればそれほど怖い札ではありませんでした。是非皆さんも花札の絵柄を楽しみながら遊んでみてはいかがでしょうか。







